三浦瑠麗がテレビ朝日「しくじり先生」に出演する日は来るのか?
適菜収【隔週連載】だから何度も言ったのに 第33回
■「愛国者」を自称するバカ
「エタ・ヒニンは犯罪のプロ」発言で、表舞台から姿を消した長谷川豊の発言をメディアはまた流し始めた。「スポニチアネックス」は長谷川のツイートを引用し《長谷川豊氏 スシロー問題「ゲンコツ3発と皿磨きで許してあげなよ」に賛否 外野の声に猛反論》という記事をつくっていたがほとぼりが冷めたとでも思っているのか?
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日本維新の会から立候補する予定だった長谷川は被差別部落を誹謗中傷。講演で「士農工商の下にエタ・ヒニン、人間以下の存在がいると。でも人間以下と設定された人たちも性欲などがあります。当然、乱暴などもはたらきます」と発言。何が「当然」なのかわからないが、さらに「相手(エタ・ヒニン)はプロなんだから、犯罪の」と暴言を吐いた。
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長谷川はイスラム教も冒涜。「マホメットなんぞ、文献によれば、何人の女、囲ってたと思う?ほとんどハーレム状態。思いやりのある人間がそんなことする訳ないでしょうが」「マホメット?ただの性欲の強すぎる乱暴者です」「いま世界で起きてる戦争、ほとんどイスラム系でしょ?一番、暴力的な人間が教祖様のところでしょ?」。こんな人間が維新の会の国会議員になっていたら、間違いなく国際問題になっていた。
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女性や社会的弱者に対する暴言もひどい。「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」「八割がたの女ってのは、私はほとんど『ハエ』と変わらんと思っています」「死刑はもっと残酷に殺すべきだ」「小学校時代から死刑執行シーンはみんなに見せた方がいい」「出来ればネットで生中継した方がいい」。こんな人間を擁立した維新の会も異常な組織である。
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萩生田光一は空席が続く安倍派会長ポストについて「(安倍晋三の)一周忌をめどにしかるべきリーダーを立てたい」との考えを示した。その上で「私で役立つことがあると皆さんが言ってくれるのであれば、どういう立場でも頑張るつもりだ」とも語った。とりあえず統一教会には「役立つ」だろうね。
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民族派団体「一水会」の元代表の鈴木邦男が亡くなった。これに関して「日刊ゲンダイ」の過去のインタビュー記事が目についた。
《僕は日本が好きだけど、そんなに立派な国だとは思っていない。どうしようもない失敗もしてきましたからね。それでもこの国が好きだと思うのが本当の愛国心ではないですか。今は政権中枢が率先して「侵略も虐殺もなかった」と過去から目をそらし、歴史をフィクションで糊塗しようとしている。民族間の憎悪をあおり、韓国や中国をバカにした本が書店に並ぶ。韓国を褒めたり、日本政府を批判すれば、非国民のように叩かれる。そんなものは愛国心でも何でもありません》
《しかし、「国のため」とか「私は愛国者」とか声高に言う人は偽物だと思いますよ。そういうのは、心の中で思っていればいい。行動を見て、周りが判断すればいいのです。外に敵をつくって支持を固めるのは、運動家の常套手段。政府や政党がそれをやるべきではない》
《自信を持てない人たちは、国家が強くなれば自分たちも強くなるような錯覚を抱いている。それで、「中国や韓国は許せない」と拳を振り上げたり、ゲーム感覚で「北朝鮮をやっつけろ」と戦争をあおるようなことまで言い出す。政治家は、そういう国民受けを狙って、強い言葉で隣国や外国人を非難するようなことを言えば愛国者として支持されると思っている。お互いの相乗効果で、憎悪にまみれた偽物の愛国心が幅をきかせているのが現状ではないでしょうか》
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これはそのとおり。三島由紀夫も愛国心を嫌った。
《実は私は「愛国心」という言葉があまり好きではない。何となく、「愛妻家」という言葉に似た、背中のゾッとするような感じをおぼえる。この、好かない、という意味は、一部の神経質な人たちが愛国心という言葉から感じる政治的アレルギーの症状とは、また少しちがっている。ただ何となく虫が好かず、そういう言葉には、できることならソッポを向いていたいのである。
この言葉には官製のにおいがする。また、言葉としての由緒ややさしさがない。どことなく押しつけがましい。反感を買うのももっともだと思われるものが、その底に漏曳している。
(中略)
愛国心の「愛」の字が私はきらいである。自分がのがれようもなく国の内部にいて、国の一員であるにもかかわらず、その国というものを向う側に対象に置いて、わざわざそれを愛するというのが、わざとらしいくてきらいである》(「愛国心」)
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わが国では「愛国者」を自称するバカが、国を破壊してきた。三笠宮崇仁親王は「偽りを述べる者が愛国者とたたえられ、 真実を語る者が売国奴と罵られた世の中を私は経験してきた」(『日本のあけぼの 建国と紀元をめぐって』)とおっしゃっていた。今の時代もそうですね。
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岸田文雄は2027年度に防衛費と関連経費を国内総生産(GDP)比2%とするよう指示したが、これはもともとトランプ政権が安倍に押し付けたもの。先制攻撃となるリスクが大きい敵基地攻撃能力を「反撃能力」とごまかすのも卑劣極まりない。話にならない。
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SNSのどこかで読んだのだが、ある男性が実家に帰ると、年老いた父親がオフコースを聴くようになっていたと。父親曰く「すごくいい曲がある。なんだっけ。わかった。『話にならない』だ」。それを言うなら「言葉にできない」である。
文:適菜収
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- 目次
はじめに−−「B層」とは何か?
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第一章 内田樹と『日本辺境論』
辺境と偏狭
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
B層グルメと某評論家
B層という言葉が出てきた経緯
なぜ日本はこんなことになってしまったのか?
ルース・ベネディクトの『菊と刀』
安倍晋三の行動原理
学問のブレイクスルー
マイケル・ポランニーと暗黙知
百人一首を暗記する意味
「型」を知るということの贅沢
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第二章 自立を拒絶する人たち
白井聡の『永続敗戦論』
終戦記念日という欺瞞
冗談は櫻井よしこさん
「サヨク」と「保守」の自己欺瞞
「主権の欲求不満」の解消
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第三章 「正義」を笠に着る人たち
ウクライナ首都の名称変更は「正義」なのか?
「人間は見たいものしか見ない」
社会的リンチというB層の「正義」
人種問題における「正義」の暴走
「ルッキズム」批判は「正義」なのか?
言葉狩りは「正義」なのか?
若年層に選挙権を与えるのは「正義」なのか?
山本太郎と「正義感」について
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第四章 陰謀論に走る人たち
「無知の知」と「無恥の恥」
不道徳としか言えない果物屋
「維新に殺される」
新型コロナは「バカ発見器」でもあった
ひっくり返って駄々をこねる老人たち
Yahoo!ニュースのコメント欄
知識はあるけど教養がないバカ
デマは言論の自由にあらず
社会の変化は元には戻らない
99%の人が知らない話
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第五章 無責任な人たち
安倍の次は維新に騙されるB層
メディアの劣化が止まらない
大阪都構想のデマと事実隠蔽
総選挙で湧いてきたB層
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第六章 恥知らずな人たち
飼い犬の遠吠え
安倍晋三の本質を映し出す一枚
ツッコミ待ち政治家だらけの国
日本の崩壊に気づいていないB層
日本最大の権力者は「改革バカ」
「ジューシー」発言は外部の拒絶
悪意なく嘘を重ねる人々
カルト化した自民党広報本部
百田尚樹の「歴史改ざんファンタジー」
日本人は悪に屈したネトウヨ用語を使い騒ぎ出した元首相
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おわりに−−人間は過去を忘れ野蛮は繰り返される
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